近畿大学工業高等専門学校


全国高専英語プレゼンテーションコンテストとTOEIC

 1月26日27日に東京で開催された第6回全国高専英語プレゼンテーションコンテストに実行委員として運営に当たった。初日がスピーチ部門で、出場学生は7分間のスピーチを行った。2日目はプレゼンテーション部門で3人一組の学生が10分間パワーポイントを使ってプレゼンテーションを行った。本校はプレゼンテーション部門で過去3回近畿地区大会を突破し、全国の高専のうち10校だけが出場できるこの大会に出場しているが、残念ながら、今年度は予選突破ができなかった。


実行委員にはそれぞれ仕事が与えられている。私の席は役割分担の関係で、会場の最前列になった。発表者から見ると、右側最前列には、文科省の方や国立高専機構の方そして主幹校の学校長が座られる来賓席があった。そして中央に審査委員の3名の先生方の席があり、その左に私の座る席があった。さらにその左には、次の発表者が座る席があった。最前列に座っているので、当然パフォーマンスはよく見えた。また隣に次の発表者がいて、彼らの心臓の鼓動がわかるような気がした。それほど会場は、張り詰めた雰囲気であった。


発表で最も感銘を受けたのは、プレゼンテーション部門で優勝した石川高専の学生と審査委員との英語による質疑応答であった。特に5年の男子学生が完璧な英語で流暢に答えたことに感心した。彼らが発表したことについての質問とはいえ、どのような質問が投げかけられるか分からず、それに即座に答えるのは難しいことである。それにもかかわらず、そつなく答える様子に驚いた。審査委員も同じ印象を受けたようで、最後のコメントで、超一流大学の学生よりも、英語がうまいという趣旨の発言をしておられた。コンテストが終了した時、その学生に、個人的に話しかけ、留学したことがあるのか尋ねた。そうすると、その経験はなく、英語は授業以外に、英語クラブやNHKの英会話番組で学習したとのことであった。


コンテスト終了後、名張に戻ると、近大高専でもうれしいニュースがあった。4年情報コミュニケーションコースの学生、赤崎智君が1月に受験したTOEICで815点を取っていた。さらに驚くべきは、彼の学習期間の短さであった。昨年の10月に本格的に学習に取り組み、12月に730点、そして1月に815点と猛烈なスピードで成績を向上させていた。1年から3年まで彼に英語を教えていたが、授業での印象は余裕のある学生ということであった。今から思えば、伸び代があったのだと思う。進路のためにTOEICの資格を取ることを決めて、その時に本気になったように感じる。それでも800点台をいきなり取るとは驚きである。


ESSのクラブ員では、第2回と第3回の全国高専英語プレコンに出場したことがある5年都市環境コースの竹株孝彦君が2,009年12月にやはりTOEICで、815点を取得している。彼は高専1年の時から、英会話が得意な学生で、外国人の友人がいると言っていた。


  全国高専英語プレコンにせよ、TOEICにせよ、学生の頑張りには感動させられるところがある。彼らは情報や建築といった専門教科を勉強しながら、英語も学習しているのである。たぶん彼らは、時間よりも先に歩んでいるように感じる。あたかも1日が30時間あるかのような濃厚な時間を過ごしているのだろう。一方我々は時間にせっつかれたり、時間が足音もなく傍らを通り過ぎていることにある日突然気づいたりする。しばしば現実時間と体感時間との大きな差を感じて、呆然として立ち尽くすことも珍しくない。そして、いかにその差を埋めることができるのかと、思案することも多い。


  石川高専の学生、そして本校の赤崎君に共通しているのが、留学経験のないことだ。赤崎君は、文法や単語学習を行い、リスニングやリーディングの練習をしたそうだ。特別なことをしたのではなく、当たり前のことを当たり前のこととして行っている。彼らが国内だけにいてもこれだけの成果を上げてくれたことは、高専生全体に希望を与えてくれる快挙だと称賛することができる。彼らに続く学生が出てくることを強く願う。