平成19年3月6日
近畿大学工業高等専門学校
校長神野稔
卒業おめでとうございます。
本日の卒業証書・修了証書授与者は、本科197名、専攻科4名です。
今回はじめて修了生を出した専攻科は、全員、学士資格を取得し、筑波大大学院博士課程前期課程への進学や、本田技研工業㈱はじめ、有名企業への就職が確定しています。
本科卒業生は、国立印刷局、関西電力、大阪ガス、出光興産、三菱重工業、松下電工、京セラ等に就職が確定し、国立大学24名、近畿大学17名、他私大学(立命大・関西大ほか)10名、本校専攻科4名の現役進学が確定しています。
本高専の進路は、本科・専攻科ともに強いことが証明されました。
針路変更する本科3年修了生(高卒扱い)については、まだ後期期末考査の結果が出ていませんが、法政大学社会学部や専門学校への進学が5名、太平工業(株)などへの就職が2名います。
本科3年からの針路変更も上出来だと言えます。
本校の改革は、授業内容、学生指導、入試制度、人事給与システム、学園祭、課外活動、学生購入物品、施設・設備、福利厚生、研修旅行、国際交流、IT教育、地域貢献、民産官学共同など、多岐にわたっていますが、改革の原動力は人事刷新にあり、博士2名(4%)だった教員構成を博士24名(50%)とし、トップ水準の先端技術開発者やスポーツ指導者などを採用したところにあります。
これは、世耕弘一近畿大学初代総長の「高専設立趣旨」にある「技術指導と学問の実際を身につけた社会的経験の深い人格者を指導陣に加えて実地指導に当てる」という「実学教育」の方針を現代的に反映させたものです。
一方、「人に愛され信頼され尊敬される人を育成する」という本学の教育目的である「人格教育」(人間の素養の涵養を図る活動)にも力を入れてきました。
それは、近年、人間の尊厳に関わる問題が軽く扱われ、親子兄弟での殺人、仲間に対するいじめ暴力、それらが原因での自殺などが多く生じていていることや、挨拶できない、仲間を思いやる心やコミュニケーションが取れない者への「教育」が重要となっているからです。
「イジメ暴力」これについては、被害学生保護を優先とし、加害学生に対しては退学処分も辞さずの姿勢で挑んできました。
「登校拒否」「保健室登校」学生への配慮、これについては専門の臨床心理学博士をカウンセリング室に配置し、クラス担任、クラブ顧問、保護者との連携も図ってきました。
「しつけ」教育にも気を配りました。
多くの外来者から、「学生の挨拶がいい」服装や頭髪の乱れが少ない」ど、本校の学生を誉めて頂いています。
これは、学生部を中心とする挨拶、頭髪、服装などでの生活指導や、寮やクラブ活動を中心とする生活教育が、全学生に影響したと言えます。
野球部寮生の産田神社周辺での清掃活動、ボランティアグループ・グッドジョブの地域での奉仕活動は、熊野市や地域住民から評価されています。
寮生に対する指導体制は、寮務主事を筆頭に、寮主任3名、寮監3名、5年指導寮生4名、4年副指導寮生12名、寮担当事務職員2名、それに毎日の宿直教員2名が当たってきました。
300名近くいる寮生の生活指導は大変ですが、4∼5年生の指導寮生と教員スタッフの努力もあって、寮生活での規律が保たれてきたと言えます。
「正座」と「ビンタ」で型にはめるのでなく、時間を掛けて、現代的・民主的手法で挨拶や規律を学ぶシステムを構築していますが、学年が上がるにつれ、仲間とのコミュニケーションもよくなり、落ち着きもでき、社会に出ても大丈夫という学生に育って行きます。
家庭や地域における「しつけ」が十分に行き届かない時代における、寮教育」の果たす役割は、非常に大きいと言えます。
「課外活動」を人格教育の一環と位置づけ、技術力向上と心身強健な人間を育成するだけでなく、礼儀正しく、規律を守り、共に協力・協働し、仲間に対する思いやりを持ち、先生を敬う心などを養うことも目指しました。
「学生活動活性化」の目玉である地域の祭典「熊野祭」は、全学生・全教職員・保護者・地域住民の企画参加を通して、コミュニケーションの輪が広がり、地域や学校に対する愛着と帰属意識を高揚させています。
「建学の精神」を重視した教育方針を実現するため、一般入試、推薦入試、自己推薦入試、給付奨学金入試など、幅広い学生の受入を行ってきました。
学力格差のある学生の教育方法として、一般教育における習熟度授業、専門教育における主科目・副科目選択授業、土曜日補講、試験毎の不合格者に対する再試験と補講、欠課連絡表の活用など、落ちこぼれのない教育」をモットーにしたシステムを構築しています。
保護者による「授業参観」と「アンケート」学生による「授業評価」など、もやりましたが、直接校長にメールで意見具申できる「目安箱」や、保護者用「コメントボックス」を設け、それらについて校長が読み、直接的に問題対処してきました。
春秋2回、熊野、新宮、大阪、和歌山、松阪、上野の各地区で開催される保護者会地区懇には、校長はじめ関係教員が出向き、護者と直接的に話し合い、保学校の運営方針を理解して頂くだけでなく、保護者からの苦情処理や教育相談も行ってきました。
これらを通して、校長・教員・学生・保護者のコミュニケーションを良くさせ、いじめ暴力、生活指導、寮生活、教育等々の問題で、相互理解を得るシステムを作りあげてきました。
本校の改革は、高等教育機関らしい教育研究活動、学生活動の活性化を目指しましたが、一方、「人に愛され、信頼され、尊敬される人間を育成する」という「建学の精神」を重んじた「人間教育」にも及んでいます。
卒業生の皆さん、本校で獲得された技術を、知恵を、コミュニケーション能力を、社会において遺憾なく発揮してください。
最後に、卒業生の皆さんの健康を祈念して、校長の挨拶とします。
以上