村田圭治校長にインタビュー!

質問1

工業高等専門学校(高専)とは?

返答

高等専門学校,いわゆる「高専」とは,「中学校を卒業した15歳の学生を受け入れ,実践的な技術者教育を行う5年一貫の高等教育機関」と言えます。重要なのは、「技術者・エンジニアを育てる学校」であること、そして大学・短大などと同じ「高等教育機関」であることです。高校3年間と大学工学部の4年間を合わせた7年間を5年間に凝集し,大学の学部卒と同程度の教育を行っています.文部科学省・高等教育局・専門教育課の管轄下にあり、教員も教授・准教授・講師等と呼ばれています。

豊富な実験・実習のほか、ロボットコンテスト(ロボコン)・プログラムコンテスト(プロコン)・デザインコンペティション(デザコン)など各種コンテストを取り入れた実践的な技術者教育、そして何といっても、「個性を尊重したきめ細かい教育と進路実績(就職・進学)」が特長でしょう。

「高専」の周知度が向上したこともあってか、ここ数年は入学希望者がどんどん増えてくれています。中学生の皆さんには、是非一度、 オープンキャンパス に参加していただきたい!わかりやすく、しかも楽しく近大高専を体験していただけますよ!前回は250名近い方々に来校していただきました。

 

質問2

工業系というと、男子校的なイメージがありますが女子生徒の活躍も教えてもらえますか?

返答

現在、女子学生は全学生の5%程しかいませんが、近年増加傾向にあります。工業系の女子、いわゆる「リケジョ」は、就職や進学する際、あるいは就職後の待遇や収入でも男女の差も無く同等に扱われます。

本校の女子学生は、学生会や学園祭でリーダー的存在であったり、女子学生目線で近大高専を紹介する冊子「近大高専ナビ」を発行するなど、とてもアグレッシヴ。また、他の国公立高専女子と連携して行う 「高専女子交流会」、「理系女子フォーラムみえ」、「高専女子フォーラムin関西」などに参加 し、高専生活や卒業研究について紹介しています。

本校の女性スタッフの声を取り入れ、2019年度から制服もさらに可愛く変わります。

ご期待ください!

 

質問3

校長就任後、印象的な出来事はありましたか?

返答

今年、 2018年の3月に竣工した「武道館」 ですかね。これまでは体育館の半分に柔道用の畳が敷かれていたので、その他のバスケやバレーボール部、バドミントンや卓球など肩身の狭い思いをしていたのではなかったでしょうか?武道館ができたことで多くの運動部の皆さんもモチベーションもあがり、成績も良くなると期待しています!

それと、昨年度、平成30年度入試の「推薦入試(A日程)」で、定員160を大きく超える194名の志願者がありました。平成23年4月に本校がこの名張市春日丘の地に移転・開学して丁度7年、ようやく近大高専の特長ある教育が評価され、知名度向上につながっていることを実感できました。

 

質問4

中学生の頃の校長先生はどんな生徒でしたか?また、今の中学生にメッセージをお願いします。

返答

私の中学生時代ですが……1、2年生の時が人生最大のモテ期でした!クラブ活動はバスケットボールをしていたり、フォークソングが好きでギターも弾いたりしましたが、どちらも上手くなかったはず。理由はわかりませんが、「元気で明るい性格」に好感を持っていただいたのかもしれません。

勉強は3年生になってから。友人に数学を教えてもらって、理系が得意になりました。というか、国語がダメでしたので、自然に理系に進みました。その後は東京工業大学に入学、その当時オイルショックや公害が問題となっていたことから、エネルギーや環境技術を目指しました。㈱東芝に就職し、主にエネルギー工学(熱技術)の基礎研究を業務とし、本校に赴任後は機械系の学生を対象に熱工学技術の教鞭を執ってきました。

今の中学生にメッセージを贈るとすると、「機械,ロボット,電気製品,パソコンが好き」「モノづくりが好き」で高専を選んでくれることが理想です。しかし、自分に置き換えると「何も考えてなかったかも」と愍然たる思いです。漠然と「理数系の科目が好き」「受験勉強よりもスポーツがやりたい」などでも良いのでは? 高専でいち早く工学に触れながら、将来何をやりたいのか、どんな仕事につきたいのかをじっくり考え、モチベーションとなる目標を見つけて欲しい。

 

質問5

高専の良いところってどんなところですか?

返答

高専の第一の特長・メリットは、 進路実績 でしょう。

中学校卒業生の多くは、とりあえず普通高校に進学しますが、普通高校での勉強は大学に進学するための勉強が中心。卒業しても仕事をする技術を身に付けている訳でもない。自分のやりたいことを実現するためには、大学だったり専門学校だったりに進学する必要があるでしょう。

『高専』は5年制の高等教育機関。高校3年間と大学工学部の4年間を合わせた7年間を5年間に凝集し、大学の学部卒と同程度の教育を行っています。実験・実習を多く取り入れた実践的な技術者教育を、より早くから、より長い期間おこなう。すなわち『早期かつ長期の専門教育』を行う学校、それが『高専』。だからこそ、時代が求める人材を輩出し、卒業生は地元企業はもちろん大手企業に数多く就職できるのです。高専卒業生は、産業界から高く評価され、大学学部卒に比べて就学年数は2年短いにも関わらず、入社後の収入や企業内での昇進についてはむしろ良くなっているという調査結果もあります。

ただ最近では、卒業後、大学3年次に編入学する学生も増えつつあります。進学(大学編入学)においても進学学校並みの実績を有し、国立大学や有名私立大学にたくさん編入学しています。高専が「隠れた進学校」などと評される理由です。この他、高専専攻科に進学して、大学と同様、学位(学士)を取得することも可能です。高専卒業生には種々の選択肢があるのです。

加えて、本校の大きな特長は「1学科複数コース制」です。入学生は全員が「総合システム工学科」に入学。1、2年次は数学、物理、化学、英語の他、工学基礎を中心に学習します。そして3年進級時に、4コース:「機械システム」「電気電子」「制御情報」「都市環境(建築・土木)」の中から専門コースを選択し、残りの3年間(3~5年次)で各専門技術を詳しく学びます。つまり、最初の2年間にじっくり考えて専門を選択することができるのです。

『高専』に興味を持っていただけましたか? オープンキャンパスや学校説明会 を逐次開催しています。ぜひ、ご参加ください。詳しくは近大高専ホームページ https://www.ktc.ac.jp/ をご覧ください。電話 0595-41-0111 でも気軽にお問合せください。

 

質問6

近畿大学工業高等専門学校をどんな学校にしていきたいですか?

返答

まず、情報技術者教育の強化です。あらゆる産業でITとの組み合わせが進行する今、Society5.0の実現に向けて、特に人材不足が深刻化しているサイバーセキュリティ人材の育成が急務となっています。『高専』は、こうしたサイバーセキュリティ人材の育成にも適していると評価されています。本校の制御情報コースでは、「サイバーセキュリティ」に加え、「AI」「ロボティクス」といった情報技術分野を鮮明に打ち出して、本校における技術者教育の柱に据えたいと考えています。女子学生の増加も期待できるでしょう。

もう一つ重要なのは、国際化に対応した教育の推進とグローバル人材の育成です。本校では、平成28年7月海外留学を含む外国語教育の充実や国際交流の推進を謳った「国際化推進ビジョン」を制定しました。そして、平成30年3月 英国チェシャーカレッジ・サウス&ウエストと国際交流に関する覚書を締結 し、教員と学生の短期相互訪問を手始めに、「夏期語学研修」への本校学生の参加を進めたいと考えています。外国人留学生の募集も再開しています。今後、一層の国際化推進とグローバル人材の育成に注力していきたいと考えます。

『高専』は全国に57校しかなく、その入学定員は15歳人口の約1%、中学校卒業生の僅か1%しか進学できない希少な学校です。入学生の数を考えると、確かに『高専』はある意味、マイナーな学校でしたが、近年はその教育制度が産業界、教育界、そして政界でも評価されるようになりました。海外でも『KOSEN』として知られるようになっています。

これからの時代は、今までの技術が全く役に立たなくなることもあり得る。企業だけではなく教育機関でも時代の変化に迅速に対応できることが重要。それができる『高専』にしたい。

少子化の時代ですが、今、『高専』を取り巻く諸情勢は明らかに追い風であると考えます。

 

以上

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